【ドラマ「春になったら」と社会保険の給付（その2）】Zoom対応の社労士事務所｜ツインシティズ社労士事務所

今回は、ドラマ「春になったら」での出来事で受けられる社会保険の給付について父親である雅彦（演じるのは木梨憲武さん）の立場で話をしたいと思います。

 

(注) このブログでの話は一般論のため、似たようなケースが周りで発生した場合はこのブログを鵜吞みにするのではなく、制度を管轄している役所等や社労士にご相談いただきますようお願いいたします。

 

前回は、子供が生まれるときのことを中心にお話ししました。

今回は、余命3ヶ月と宣告されて必死に生きようという中で受かられる給付の話になります。

 

(1) 繰上げ支給の老齢年金

現在、老齢年金は原則として65歳からの支給ですが、60歳になってから65歳になるまでの間に繰上げ支給の老齢年金を請求することができます。雅彦は62歳になっているので、年齢要件はクリアしています。

当然、繰上げしようとするときに10年（120ヶ月）以上の受給資格期間は必要となりますが、雅彦が長年実演販売の会社に勤めていると考えると、その会社で厚生年金に入っているでしょうし、その期間だけでも10年に達しているでしょうから、繰上げ支給の老齢年金は請求可能と考えられます。

繰上げ支給の場合、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時請求となります。

また、早くもらう分1ヶ月あたりの支給額は減額されます。

減額率は、1ヶ月につき0.4％です。仮に雅彦が62歳3ヶ月の時点で年金を請求するとなると、通常より2年9ヶ月（33ヶ月）繰り上げることになるので、減額率は0.4％×33ヶ月＝13.2％になります。

とはいえ、余命3ヶ月で65歳を迎えられないと本人は思っているでしょうし、減額されても年金の請求をするのは現実的な話だと思います。

 

(2) 障害年金

雅彦は膵臓がんにかかっています。今は鎮痛剤で持ちこたえていますが、それもできなくなる時がいつかは来てしまうだろうなと思います。

そうなった場合、症状に応じて障害年金が出る可能性はあります。

がん（悪性新生物）による障害に関する認定基準はこちら（日本年金機構のサイトに掲載されています。）

なお、雅彦が初めてがんと診断されたのは会社勤めの間なので、厚生年金に入っていると想定すると障害厚生年金の対象になります。

障害基礎年金（国民年金）では1級、2級でないと支給されませんが、障害厚生年金では3級まで支給対象になります。

また、同じ障害で1級、2級の障害厚生年金が支給される場合、それぞれ1級、2級の障害基礎年金も併せて支給されます。

日本年金機構が障害年金ガイドも出していますので、こちらを参考にするのも良いかと思います。

 

老齢年金や障害年金の相談をしたいけれどどこの年金事務所に行けばよいかわからない方は、日本年金機構のこちらのページから検索するとよいでしょう。

 

年金の話はここまでです。次は参考としての話になります。

 

(3) 介護保険

このドラマでは雅彦は余命3ヶ月という設定で、6ヶ月間にわたって要介護状態や要支援状態が継続するという状態にはならないため、雅彦自身は介護保険からの給付は受けられないでしょう。

しかし、同じがんでも人によっては長期にわたって要介護状態や要支援状態になるケースもあり得ます。そのための参考として書いてみたいと思います。

40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者の場合、保険給付が受けられるのは特定疾病に限られます。

（特定疾病に関しては、こちらの厚生労働省のページを参照ください）

この特定疾病の中にがんは含まれています。

そのため、がんにより6ヶ月以上にわたり要介護状態や要支援状態になるのであれば、65歳未満でも介護保険による給付は受けられるのではないかと考えられます。

なお、65歳以上の介護保険第1号被保険者の場合は、6ヶ月以上にわたって要介護状態や要支援状態にあれば、原因となった疾病が何であるかは問われず介護保険を受けられることになります。

 

介護保険の相談窓口はお住まいの市区町村の役所になるので、検索される場合は「福岡市東区　介護保険」などのキーワードで検索するとよいでしょう。

 

今回は、がんになった時に受ける可能性のある保険給付について書いてみました。

がんは日本人の死因の1位になるほどです。

周りの方が不幸にしてがんになった場合も、社会保険から受けられる給付があるのは知っておいて損はないと思います。

 

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